メランコニア

水玉物語#017メランコニア

悲しみに宿る魔法
涙はステッキ
私たちは魔法戦士
悲しみは夜を泳ぐ魚

少女ニアはよく深い悲しみにとらわれて、眠れない夜を過ごしていました。そんな時、部屋の中は壁も天井にも、なぜだかわからない悲しみが見えました。同じように少女ニコも窓の外を見ては悲しみの瞬きを夜の空に見つめていました。

二人は同じ学校の宿舎に暮らしています。

ある日、ニアとニコは今は使われていない秘密の礼拝堂で出会いました。見つめ合うと言葉もなく、抑えていた涙がこぼれました。私たちは何がこれほど悲しいのでしょうか。

その時、礼拝堂の女神像が光って、

「あなたたちの悲しみに力を与えます。あなたたちは悲しみ魔法戦士として、これから戦うのです」と二人に告げました。

「いったい何と戦うのですか?」

「悲しみから人を暗黒に落とそうとする敵と戦うのです」

よくわからないけど、女神様の告げた通り、台の上に置かれた星形の杖を振ると、二人は変身しました。そして自分の中に不思議な力が生まれてくるのを感じました。

「これが魔法の力ですか?」

二人は女神様の小さな使い魔に導かれながら、悲しみ魔法戦士として戦い成長していきます。悲しみも切なさも寂しさも悪いことじゃない。どんな感情もそれが優しさから生まれたなら美しい魔法になることができる。戦わなくてはいけないのは、そこに巣くい暗黒へと落とそうとする力。

私たちは悲しみ魔法戦士メランコニア。

泣いているあなたのその悲しみの味方。

悲しみなどない方が良いと、悲しみは喜びに変えればいいと言うけれど、それは違う。悲しみには悲しみにしか生み出せない美しい夢がある。だから、この世界の悲しみを私たちは煌めきへと転生させる、愛と優しさの魔法になりたい。

私たちは
ただありのままの
星の空を
受け止めたかっただけ