水玉物語#007 水玉国
僕たちはこのまま手をつないで どこまでも行こう たとえ世界が終わったとしても
川沿いの見晴らしの良い一本道を歩いていると、向こうから歩いてくる女の子がいました。 「こんにちは」「こんにちは」 と二人はすぐに仲良くなりました。 そしてどこかへ遊びに行こうと意気投合しました。
最初のデートは水族館。 次は動物園。 映画館。 そして南の島への旅。 けれどその世界には革命か戦争か何かが起こっていて、残された残骸か今滅びつつある場所しかありません。 けれど二人は構わず、残された残骸に空想を駆使してデートをします。 水族館は工場跡で、動物園は遊園地跡、 映画館は空でした。
そして最後、たどり着いた南の島で、真っ白なシーツに寝転んだ二人に「あと数分で世界が終わります」と告げるラジオの放送が聞こえます。それでも二人は、目を合わすと、今日も楽しかったね。明日も明後日も一緒にいよう。世界はまだまだ広いのだからと指切りをしました。
夢の中で彼らは、朝の白い光の中で目を覚ましたら。恋をしようと切に思いました。世界の終わりのような恋をしようと祈るように思いました。