水玉物語#004サーカスシティ
雲の上の遊び場で 女神さまの言いつけを守り 明日の扉を守る天使たち いつかその扉が開くまで
何千年も雲の上の国ミルクインザポットで「明日の扉」を守る使命を与えられた二羽の天使が、今日も雲の上から糸を垂らして、地上から壊れた物を釣り上げては、直したりして過ごしていました。
壊れた太鼓や笛を直して、音楽を奏で、雲でできた滑り台や砂場で遊び、疲れると雲にくるまって眠りました。
女神様は言いました。あの扉が開けば明日がくると。
「明日ってなんだろう?」
天使たちは顔を見合わせて首を捻ります。扉の鍵穴から覗いてみても何も見えませんでした。けれどきっと明日はとてもいいものなんだろう。きっと何もかもが雲の綿に包まれてしまうくらい。素晴らしいものなんだろう。
そんなある日、しばらくぶりに女神様がやってきて、「あなた方はこれから扉の鍵を探すため、羽と記憶となくして、地上に降りるのです」と言いました。二羽は驚き、女の子の天使は泣きました。
そこはサーカスシティ。雲の真下に広がるサーカスを中心にその昔栄えた街です。これまでは上から覗くだけの街でしたけれど、そこに降りて探さなくてはなりません。
二人は羽と記憶を失い、それぞれ別の場所でその街の人に拾われて暮らし始めます。
女の子はココと名付けられ、「イエスタディランド」という名の今は寂れてしまった店に。男の子はサンという名をもらい長い間修復中のカテドラルに拾われました。二人はそれぞれ仕事を手伝いながら、少し変わった人たちに守られ、導かれ、いつしか、二人は再び出会い鍵を見つけます。