水玉物語 #002 ファラウェル
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汽車の終着駅ファラウェルは 長い間眠ったまま 街の中心にある時計塔の針も 止まったまま 人々はそれぞれ夢を見ながら 暮らしています
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街の中心から少し外れた坂の途中にある、時計屋にはパルカという名の女の子が住んでいます。パルカは本当は人形で、店主ミシェルの作った特別な時計によって生きています。
パルカは時計屋のショーウィンドウに座ったまま、時計塔の上に住む少年に憧れています。彼の名を小鳥と名付けて、いつも彼の姿を見つめています。
小鳥は毎夜、違う女の子と塔の上に過ごしています。パルカは彼の気持ちを想像します。彼が見ているものを知りたいと夢みます。彼はずっとずっと探している、本当に愛する人を、それはきっと私であると。
けれど、それからしばらくして、小鳥は塔の上からいなくなりました。ショーウィンドウの前を毎日通っていた青い制服を着た少年達もいなくなりました。パルカはそのままの姿で座っています。
ある日、小鳥が大人の姿で時計屋にやってきました。彼は店主に言いました。「僕にはあの頃、何か忘れていたものがある気がするのです」と。
店主は小鳥にパルカにかけた時計を外すと、これを預けると言いました。「この時計は時を戻し、あなたの探しているものを見せてくれるはず」と。
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そして小鳥は次の明け方、時計塔の前の広場の噴水に腰掛け、その時計の音を聞きます。なぜか、涙が出ました。
二人は過去には起きなかった時間を手に入れ、明け方の広場で出会います。
そうだ、僕はあの時、僕の本当の気持ちを誰かがわかってくれていると思っていた。それは君だったんだね。 僕はずっとそう思っていたよ。
パルカはそれを聞いて
にっこりと微笑み、
時計の針が動くように
チクタクと本物の心が
生まれました。
このお話のもう1つのお話
同じく、まだ時の止まっているファラウェルの小鳥とパルカのお話ですが、店主が留守にすることになった代わりに、ブルーという名の少年が時計屋にやってきます。パルカはここでは自分を人形と思い込む、女の子で、小鳥とパルカとブルーのひと夏を過ごし、街に時が戻ってくるお話です。
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