水玉物語#082 フォーエバーランド
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小さなくまは その木の下で ふりはじめた雪に はじめて ひとりぼっちで さみしいと思いました
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小さなくまはクリスマスの贈り物として生まれ、男の子に大切にされて過ごしますが、いつしか忘れられて役目を失い、屋根裏部屋に置かれるようになりました。
ある日迷い込んだフクロウに引っ掛かって、森に運ばれ、どうしていいかわからないくまは、ただ森のみんなのようになろうとしました。
でもなぜか、今年のクリスマスが近づいてくると、くまはもしかしたらもう人生が終わるのではないかと、これが最後のクリスマスかもしれないと思い、何かしなくては、と思い立ちました。うさぎに相談すると、忙しいうさぎは贈り物を届けるのを手伝ってほしいと言いました。くまはうさぎを手伝うことにしました。でもくまにはおくりものとは何なのかまるでわかりません。送る気持ちも、送られる気持ちも。それでも毎日運びました。トコトコ。トコトコ。時々、ころりと転んだりしながら。
おくりものを運び終えると、くまは森の大きな木の下で立ち止まり、上を見上げました。ひとひらの今年最初の雪がひらひらと舞い降りました。くまははじめてさみしいと思いました。ひとりはさみしいと小さな涙を流しました。
そしてとぼとぼと巣穴へと帰ると、そこに贈り物を見つけました。くまに届いたはじめてのおくりものです。くまはとても嬉しくなり、箱の中を覗き込むと、ひっくり返り、春になったらだれかに贈り物を送ろうと幸せな気持ちで、そのまま眠りにつきました。
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ぼくはおくりもの
きみもおくりもの
この物語には同じ物語をもっとよく見て書いた、少し長い物語があります。こちらから
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この物語の絵本はこちらから
水玉の手記
この物語は最初はクリスマスの絵の向こうにあるお話で、それを原作にして、絵本にして、今度は演劇になった。ここから抜け出した、くまやうさぎがもっと遠くまでいくかもしれない。
この森に出てくる、大きな木はこのフォーエバーランドのお話にはよく出てくる魔法を与えている木。ある意味でこの木のことを知るためにいろんなお話があるようにも思える。いつか大きな木も本物になるといい。