水玉物語 #016 メランコニア
それはたった一夜の夢だとしても、 私たちはいつでもその場所に 帰ることができる そして取り戻す 彼らの声が聞こえる耳を
ベルは屋根裏部屋で古い日記を見つけました。そこには緑に囲まれた山の中の家で過ごす日々のことを綴った詩が書かれていました。
ベルは悲しい時、寂しい時その日記を開くと、その場所に行って、その日記を書いた誰かと一緒にいるような気持ちになりました。
ある夜、日記を開いたまま眠ったベルは目を覚ますと、見知らぬベッドで眠っていました。隣には見知らぬ髪の長い女の子が眠っていて、ベルはきっとこれは夢だと思いました。
次の朝、目を覚ましても、その夢は続いていて、ベルは髪の長い女の子ナタリーと一緒にその家で暮らすことになりました。 ナタリーは見た目と反対に意地悪で、口が悪い女の子でした。けれどベルはなぜだか二人で過ごす日々が心地よく思いました。もしかしたらナタリーが日記を書いたのではないかと思いましたが、何も言わずに過ごしました。 深い森に囲まれた、そこは少し不思議な世界でした。その場所がどこなのかもわからないまま、季節が春になると、二人のもとにいろいろな植物や動物たちがやってきました。 彼らは当たり前に言葉を話し、みんな悩みを抱えています。ベルは季節を感じながら、彼らと関わることで少しずつ変わっていくことを心地よく思えました。 そして季節が一巡して、みんなで冬の長い眠りにつきます。また春が来る日まで
それはひと夜の長い夢
でもその場所は永遠に
私たちの秘密の場所
このお話の続きのお話
