水玉物語#029フォーエバーランド
夢なら覚めないで このままもう少し ここにいさせて
ある朝、ベルが山の上の家で目を覚ますと、ナタリーがどこにもいませんでした。家の中を探しても、庭を探してもいませんでした。
ベルは山の家のあちこちに住んでいたり、出入りする言葉を話す動物たちに尋ねました。新聞記者のネズミはナタリーは黒い鳥のような男と一緒に出て行ったと言いました。その横でおしゃれをしているアライグマが「もうじき、あの日だから」だとも言いました。
また庭の花たちは、彼女は囚われているからそれを救うにはワンダーストーンを見つけるしかないと言うのです。
ベルはナタリーを探しに行くことにしました。けれど山の動物たち(うさぎや狼やきつね)はあれこれと適当なことを言ってベルを騙し翻弄します。ベルはナタリーがいるというデッドツリーのパーティにたどり着きます。
それは深い森の奥の沼地にある、1000年も前に枯れた木です。その木は死を司りこの森に魔法を与えていると同時にこの森を呪いにかけているといいます。ナタリーはその木の化身の一族で、今夜、魔法は与えられるけれど、同時に死も与えられるのです。ナタリーはそこで恐ろしい死を宣告する悪の女神のような役割だといいます。ベルはなるほど、それはナタリーによく似合うなと思ったけれど、でも同時にナタリーは、本当は心優しいのにと思いました。そしてとにかくナタリーに会いたいとユニコーンたちの力を借りてその沼地へ出かけていきました。
まさにナタリーが誰かに死を与えようとした時、ベルが小さなボートに乗ってやってくるのが見えました。ナタリーは一瞬怒りに震えました。何も考えてないお気楽なベルがこんなところにまでのこのこやってくるなんて。でも同時に涙が出ました。
ベルはナタリーに言いました。『ワンダーストーンさえ見つかれば、もう森はデッドツリーの死の力に頼らなくてもいいの。森ごと魔法で包むことができる』ナタリーはそれを聞いて、決意します。なんと、デッドツリーを脅してワンダーストーンのありかを聞き出します。ナタリーらしく。デッドツリーはそんなことをされたのは初めてで、少し愉快な気持ちにもなり、枝の1つを振り上げて見える一番高い山を示しました。
二人は山に登ります。山の上には雲の羊飼いが住んでいます。その羊飼いがワンダーストーンの秘密を知っているのです。でも登ってみたら羊飼いはとんでもないおバカさんでした。飛んだり跳ねたりふざけたことばかり言って、お話が通じないのです。
ナタリーとベルは、息を切らし、何もかもどうでもよくなって、寝転びました。雲の羊が空で遊んでい流のが見えました。同じように寝転んだ羊飼いは言いました。「バカなのは君たちだろう。背中にあるワンダーストーンに気づかないなんて」澄み渡る空のようなきれいな声で。二人は理解しました。この世界はこの不思議な石の上、全て守られて生きている。だから何も心配ないのだ。大切なのは所有することじゃない、気付くことだと。
そして二人は山の家に帰り、山を包む森とそこに暮らすもの訪れるものと、また新しい一年を始めました。そこには黒い羽のナタリーの従兄弟も、おばかさんの(振りをした)羊飼いもやってきました。もう黒い魔法などに頼らなくてもいいのです。
このお話の最初のお話
一冊の日記をみつけたことから、不思議な夢の中に目を覚ましたベルはそこで出会ったナタリーと言葉を話す動物たちと過ごすうちに、永遠の場所を手に入れます。